「やんばるクイナ」に出会う旅   (最終篇:「ゴーヤーDRY」と県道2号線)「ヤンバルクイナ」
 最後に向かうのは県道2号線、国頭村を東西に横切る代表的なやんばるロードです。ヤンバルクイナに出会う期待がいやが上にも高まります。新与那トンネルを越え、与那集落にはいると県道2号への分岐標識が現れます。東村境界表示板同様、ちょっぴり感動です。余談にはなりますが、かつて使用していた旧与那トンネルはヘリオス酒造の貯蔵庫として利用されていて、泡盛1本3年間8,000円で預かってもらえます。[琉球朝日放送]

 泡盛は、3年貯蔵すると立派な古酒(くーす)として生まれ変わります。これまでは、3年以上貯蔵した泡盛が51%以上含まれていれば古酒と表示することが出来ましたが、県内9酒造所が違反した古酒表示問題をきっかけに、県酒連(県酒造組合連合会)は今年7月初旬にも、古酒基準を51%から100%に厳格化する予定だそうです。 ちなみにこれまでも、5年、7年など、と年数をはっきり表記した商品については、年数以上熟成された泡盛が100%でなければならないことになっているそうです。


「ゴーヤーDRY」



やんばる県道2号線
 ヘリオス酒造と云えば、沖縄産ゴーヤーで作った「ゴーヤーDRY」という地ビール(正確には発泡酒)を製造しています。ホップとは違った後引く苦みが楽しめるという噂なのですが、まだ飲んだことはありません。国際通りに直営のビアレストランがあるということなので、一度訪づれたいと思います。

 沖縄の人々を「日本政府に対するごまかしとゆすりの名人」(Okinawans are masters of “manipulation” and “extortion” of Tokyo.)と揶揄(やゆ)したアメリカの高官がいました。「沖縄の人は怠け者でゴーヤも作れない」という発言もあったそうですが、「ゴーヤーDRY」はしっかり沖縄で造っています。

 県道2号線に入ると、さっそく「ヤンバルクイナ とびだし注意」の道路標識が見つかりました。「ケナガネズミ注意」の看板も目立ちます。県道2号線は、どちらかといえばケナガネズミ重点路線のようです。「おうだん注意 イボイモリ」の看板も可愛らしいです。しかし、ここまでくると専門家かマニアの領域で、だいたい「イボイモリに注意」といわれても、事の重要さがよく分かりません。

 しばらく走ると広域基幹林道大国線の入口が見つかりました。総延長35.5km、幅員4mの国頭側の起点です。続・中篇で探索した大国林道は、ここまで続いていたということです。中間地点の比地川付近で下山することなくまっすぐ走っていたら、別のワクワクする報告が出来たかもしれません。 そして更にここから先は、本島北端最果ての地「奥集落」まで14kmに及ぶ広域基幹林道奥与那線が延びており、やんばるの先には、さらにやんばるが続いていました。


スロープ付き側溝
 県道2号線をさらに進むと、あ!路上にヤンバルクイナが・・と思ってブレーキを踏んだらカラスでした。名護以北ではカラスをよく見かけます。那覇ではあまり見たことがありません。ヤンバルのカラスは、道路をピョンピョン跳ねて渡るので大変紛らわしいです。ヤンバルのキジバトもよく道路を歩いて横断していました。 側溝には、小さな動物のための階段が付いています。スロープ付き側溝というようですが、広島駅前を流れる京橋川に作られた、土木学会選奨土木遺産指定の雁木 (がんぎ:河岸から川に降りる階段)によく似ています。

 県道2号線は普久川ダムまでくると終点です。このあとは、東海岸沿いの県道70号線を通って帰ります。朝9:00に家を出て早くも夕方の5:00、やはりやんばるは遠い地でした。本物のヤンバルクイナに出会うことは叶 (かな)いませんでしたが、広域基幹林道大国線の半分は残したままで、今後の楽しみはかえって膨らむばかりです。



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