「やんばるクイナ」に出会う旅   (前篇:ヤンバルクイナの故郷へ)「ヤンバルクイナ」
 「ヤンバルクイナ」の故郷を少しでも理解できるよう、今週末は山原(やんばる)の地、沖縄北部を訪ねることにしようと思っています。 山原とは、一般的に名護市とその以北にある国頭(くにがみ)郡のエリアを指すことが多いようです。 ところで、名護市の南に位置する恩納村、金武(きん)町、宜野座村も国頭郡で、名護市が国頭郡の北と南を真っ二つに分断しています。 おそらく、名護が市に昇格し、郡から外れたためにこのようになったのだと思います。 不自然ではありますが、郡は行政の単位ではないので、実質的に支障となることはないのかもしれません。

 今日は6月1日金曜日、フィリピン東海上にいた熱帯性低気圧は台風3号に成長し、5日から6日にかけて沖縄本島に接近してくる見込みです。気象庁の進路予測によれば、フィリピン近海から緩やかな弧を描きながら大東島に向かうことになっています。ここのところ、沖縄本島周辺には前線が停滞していて梅雨真っ盛り。台風が梅雨前線の雲を刺激しないことを祈ります。

 この時期、本部(もとぶ)町字伊豆味にはアジサイ満開という情報があります。2012年5月19日沖縄タイムスの記事によれば、ピークは5月末〜6月上旬にかけてということで、今が最高に違いありません。那覇市のピンポイント天気予報によれば明日の午前中は曇、午後から小雨。 少々小雨降るぐらいがアジサイ見物にはぴったりと、云い訳がましい予防線を張りながらレンタカーを予約したのでした。

 6月2日朝7:00、i-Phoneのアラームが決行当日の朝を告げます。 昨日の意気込みとは裏腹に、深酒と夜更かしでテンション最低。 朝の天気は全体的に薄いい雲が広がるものの東の窓からは強い日射が射し込んできます。沖縄の天気予報が当たらないのは知っていました。雨雲レーダーの画像を見て分かる通り、沖縄付近の雨雲はいつもまだら模様で、的中率1%と言われる竜巻予報と同じぐらい難しいと思います。

 朝9:00、マツダレンタカー那覇空港営業所に到着。営業所には、わざわざバスで行くのが恒例です。自宅の近くにも幾つかレンタカーがありますが、沖縄で初めて借りた場所がここでした。ところでマツダの車は、ハイブリッドカーを凌(しの)ぐ燃費の良さを誇ります。さらに高圧縮比を実現にしたマツダのエンジンは、アクセルを踏み込んだ時の瞬発力も高く、やんばるの山道でも十分に使えます。 かつて、ロータリーエンジンを実用化した技術陣が、最高燃費のレシプロエンジンさえ手中に収めてしまったことは、大変な驚きです。



【名護市役所】コンセプトは山原(やんばる)の神々の「アザギ」


 車のキーを捻(ひね)り、先ずは沖縄自動車道で一気に名護に向かいます。名護についたら真っ先に名護市役所に寄らせて貰います。10:30 名護市役所到着、さっきまで晴れていたにも関わらず途端に大粒の雨。この種の通り雨は30分程で止みます。

 名護市役所の建物は、ほぼ30年前に竣工、308案もの中から選ばれたということです。 コンセプトは山原(やんばる)の神々の「アザギ」(神を招いて祭祀をおこなう場)、カンボジアの奥地にて密林に抱かれた巨大遺跡に出会ったような感動すら覚えます。市民に開放された庁舎という概念を併せ持ち、市民自主管理ゾーンの設置など、出入り自由でみんなに開かれた素晴らしいコンセプトの建物でもあります。



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