「やんばるクイナ」に出会う旅   (後篇:ゆかり牧場〜慶佐次ヒルギ公園)「ヤンバルクイナ」
 中編では、午後から天気予報どおりの激しい雨となり、羽地(はねじ)ダムから東海岸の大浦に抜けて、そそくさと帰る羽目になりました。 帰路途中の辺野古(へのこ)でも、米軍移転問題に思いを巡らす余裕はなく、帰りの高速道路ではワイパーが全く役に立たない状態で、前方の車の赤いテールランプを頼りに走るのが精いっぱいでした。 再びやんばるに戻ってくることを誓ってちょうど二週間、今度は台風3号 (マーワー)に代わり、台風4号(グチョル)が沖縄に近づいています。ルートも大変似ています。


スズキ・スプラッシュ
 6月16日9:00に家を出て、またまたマツダレンタカーに直行です。今回は、スズキ・スプラッシュという車を貸してくれました。スプラッシュはハンガリー生まれ、ヨーロッパの狭い石畳の道を小気味よく走る姿が似合います。 マツダレンタカーの標準設定には無い車種で、いつも借りるマツダ・デミオとの試乗比較も悪くないと思い借りてみました。 やや固めの乗り心地はデミオに似ています。 最初はギヤが低めに設定されるのが気になりましたが(おそらく排気量の差によるエンジン馬力の違い)、しばらく走れば人間の脳が車の違いを吸収してしまいます。

 高速道路を、「宜野座インターチェンジ」で降りるつもりがうっかり通過。やむなく「許田インターチェンジ」まで行き、名護市街手前から国道329号線を使って島を横断。前回雨で逃げ帰った東海岸の「大浦」を目指すことにしました。 大浦湾に到着する直前で、偶然、闘牛場(ゆかり牧場)の看板を発見。立ち寄ってみれば多くのスポーツタイプの車が集まっていて、走行会の真っ最中でした。

 スポーツタイプの車を持っている人は、なぜかボンネットを開けたがります。 しかし最近の車は、エンジン性能だけでなく、駆動系からブレーキ系統までのほとんどを電子制御プログラムが支配し、点検や調整も試験プログラムによる自己診断が中心で、ボンネットの中を覗(のぞ)いても何も分かりません。パンク修理でさえ保険会社のロードサービスが無償で駆けつけてくれる時代になって、ユーザーにメカニカルな知識は全く無用(役に立たない)となりました。


ユニクロのCM
 11:30大浦に到着。大浦は辺野古の北で、大浦湾海域にはジュゴンが生息しているという評判です。米軍の辺野古移設反対派は、このジュゴンの保護を楯にしています。 辺野古は、黒木メイサの故郷です。ユニクロの安価な普段着も、CMで黒木メイサが身につけたとたん、高級ブランドに劣らない洗練されたスポーティなお洒落着に見えるあたりが不思議です。低いものを手にする時や床に落としたものを拾う時は、黒木メイサのしぐさを真似て右足を少し後ろに引き、背筋を伸ばしてしゃがむと綺麗です。

 ここからは、東海岸沿いに東村(ひがしそん)を目差します。東村に向かう道路には信号がありません。車もほとんど通りません。そして、とにかく遠いです。東村の村境の案内板を見つけた時は、感激のあまり思わず写真を撮ってしまいました。 ここは、プロゴルファー宮里藍の故郷です。宮里藍といえば東北高校出身で、大リーガーのダルビッシュ投手と同窓です。


ヒルギ公園のマングローブ
 東村慶佐次(げさし)にあるふれあいヒルギ公園は有名で、大きなシオマネキのモニュメントが迎えてくれました。川の左岸(上流から下流を見て左側)には木道が整備されていて、よくよく干潟の中を覗くと、初めて見る蟹が沢山います。片手だけが大きいシオマネキは、動物図鑑で見たことがあるだけで本物を見たのは初めてです。 周期的に手招きする仕草は、ビートたけしの首をひねる癖にも似ています。シオマネキにも右利きと左利きがいるのを発見、流石(さすが)にコマネチのポーズまでは見せてくれませんでした。

 公園自身はどこにでもありそうな普通の公園ですが、ここから慶佐次川をカヌーで探検するマングローブネイチャーツアーは楽しそうです。 最近、スカイツリーをカヌーで見学する人も増えてきました。旧中川から北十間川を通ってスカイツリーに至る水路は、真正面にスカイツリーが望め、迫力満点のようです。しかしカヌーを係留したまま陸(おか)に上がることは禁止されていて、河川法違反でお巡りさんに叱られます。



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