「東京・下町自転車」 (亀戸:中編)

亀戸梅屋敷/ダックツアー(水陸両用車)

 すこし歩いて気になったお店が「Dining Bar MIYA」。国産ワイン専門の店と書かれていて、お店は戸建住宅の一階部分、とてもアットホームな感じです。牛すじ赤ワイン煮込みをメインディシュとしたディナーコースが2,300円とお値段もお手頃です。


江戸切子



「但元いり豆店」の塩豆



「パルファン」の亀パン
 

 路地を抜けると蔵前通りで、明治通りとの角には亀戸梅屋敷があります。ここは去年の春まで駐車場だったような気がしますが、いつのまにか立派な観光施設となりました。江東区といえば運河に囲まれた水の街、ここは亀戸界隈を水陸両用車で巡るダックツアーの起点にもなっています。

 亀戸梅屋敷で見てもらいたいのが江戸切子、江戸末期に始まったカットグラスの伝統工芸品です。赤やブルーのグラスに切り込まれたカット模様はキラキラとした美しい光を放ち、宇宙の星を思わせます。お気に入りは透明な硝子にワンポイントで飾りを掘ったワイングラスで、これであればワインの色を損ねることなく、しかも切子の美しさが引き立ちます。

 一方、ビールに合うグラスのお勧めは「うすはりグラス」。大正11年創業の松徳硝子株式会社(墨田区錦糸町)が電球製造技術を生かして作り上げた超肉薄手作りグラスで、巷(ちまた)で大人気。 細かい泡立ちと滑らかな口当たりがビール本来のおいしさを引き立てます。

 今いるところは明治通りと蔵前通りの交差点、やけに鳩の姿が目立ちます。鳩のお目当ては「但元いり豆店」(たじもといりまめてん)の煎り豆で、昔ながらの量り売りで塩豆1合200円。値上げしましたか?と聞けば、消費税アップに伴う措置とのこと。ちょっと前まで1合180円でしたから11%アップは便乗値上げの疑い濃厚ですが、最近の大豆価格高騰を加味すれば、やむを得ないかもしれません。郷愁を誘う紙袋がよけいに創業97年の趣を感じさせるこの塩豆、実は極めて危険な食べ物で、一粒口にいれようものなら最後まで止まりません。仕様(しょう)がないので、自転車を引きづりながら頬張(ほうば)ることにします。

 但元いり豆店の向かいにあるのはパン屋「パルファン キムラヤ」。ここでは亀をモチーフにした亀パンが手に入ります。親亀・小亀・孫亀が背中に三層に重なった亀パンセットも飾られており、うけ狙いのお土産にぴったりです。




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(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
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