【猿江恩賜公園七不思議】(6)
「消えずの行灯(あんどん)」/「燈無蕎麦(あかりなしそば)
(前編)

 『本所南割下水(みなみわりげすい)のあたりに夜泣きそばの屋台が出ているのだが、いつ行っても誰もおらず、明かりだけが煌々(こうこう)と点いていて、いっこうに消える気配もない。 「不思議だ!」 というだけの、わりとツマンナイ話。』(宮部みゆき「平成お徒歩日記」より)

「本所七不思議之内 燈無蕎麦」歌川国輝
 そう云えば、朝7時から夜11時まで営業すると云う謳い文句でアメリカから日本に進出してきたコンビニチェーン「セブン-イレブン」も、今では24時間営業で、まさに現代版「消えずの行灯」です。

 今やコンビニの便利さは半端でなく、航空券やチケットの入手は当たり前、マイナンバーカードを持っていれば、印鑑登録証明書や住民票の写しまで取れる時代になりました。 もはや、宝くじや馬券を販売するようになるのも時間の問題かも知れません。

 ここまで便利さを提供してきたコンビニも、最近は、パンや弁当・お総菜などの中食商品に力を入れていて、その美味しさは外食レストランも無視出来ない高いクオリティレベルに達しています。

 特筆すべきはセブン-イレブンの金のシリーズ。「下手なお店で食べるより美味しい」、或いは「神の味」と評する人さえいるようです。

 「消えずの行灯」の逆の話が「燈無蕎麦(あかりなしそば)」。 いつ行っても明かりが点かないという屋台の話。 これまた宮部みゆき先生に云わせれば、「ツマンナイ」と一蹴されそうなお話です。

 これらはいずれも狸のしわざ。狸といえば信楽焼きを想像し、出べそでお腹の膨れた太々しいおっさん姿を想像してしまいます。しかしながら実際は、尖った犬のような顔をしたスリムな体形の動物です。

 猿江恩賜公園に狸は生息していませんが、ハクビシンだったらいるようです。ハクビシンは、鼻の背に白粉(おしろい)を塗っているようなジャコウネコ科の動物。 猫だけあって、木の枝や電線を尻尾でバランスを取りながら器用に走り回ります。 これに対して狸はタヌキ科と思ったら大間違い、実はキツネと同じイヌ科に属する動物で木登りは全く得意でありません。


狸(たぬき)/イヌ科

白鼻芯(ハクビシン)/ジャコウネコ科
写真はWikipediaから引用



後編へ続く



(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
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