【猿江恩賜公園七不思議】(5)
「ミニ木蔵」と「毛利藤左衛門」(前編)

猿江恩賜公園「ミニ木蔵」

 猿江恩賜公園北側地区の中央に、四角い小さな堀が掘られています。冬になるとたくさんの水鳥が集まってくるのですが、注意深く見てみれば、白と黒の羽に金色の目をした「キンクロハジロ」に占領されてしまっています。それにしても、目が金で顔が黒くて羽の白い鴨に対して「金黒羽白」(きんくろはじろ)とはとても安易な名前です。

「キンクロハジロ」 (Wikipedia より)
 公園の南側地区の日本庭園にも池があるのですが、そちらは口先の黄色い「カルガモ」や尾がシュッと長い「オナガガモ」がメインであって、お互いに領土協定を結んでいるのではないかと思えるほどです。

「オナガガモ」 (Wikipedia より)
「カルガモ」 (Wikipedia より)
 この「キンクロハジロ」は無表情、どうも人相(鳥相)が良くありません。

 白と黒のツートンカラーは弔(とむら)い事で使用する鯨幕(くじらまく)を連想させるし、金色の鋭い目は平等院鳳凰堂の阿弥陀仏の目にも似て、邪(よこしま)な心の内がまるっと見透かされているような気になります。

 蛇足にはなりますが、神道で葬儀に使う幕は浅黄幕(あさぎまく)。青と白の明るい配色で、地鎮祭や祝賀会などの慶事にも使用します。

 話を戻し、何らかのいわくありげなこの堀の過去を調べて見れば、かつては江戸幕府直轄の御木蔵だった場所でした。

 その時期は享保18年(1733年)からという案内板が池の傍に掲げられているものの、同じ公園の中にある材木蔵跡碑に刻まれた説明書きでは享保19年となっていて、ここには時空のゆがみが発生しているようです。



後編へ続く



(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
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