【8月】 沖縄花だより | (紫雲木:後編) | |
紫雲木探しはまだまだ続きます。紫雲木を首里で見かけたという情報がありました。しかしその情報量は極めて少なく、紫雲木&首里でgoogle検索してみても具体的な手がかりはほとんど掴(つか)めません。条件を変えて数回検索してみれば、首里池端町の紫雲木が第五回那覇の景観資源に指定されたとの新聞記事がヒットしました。これほどまでに有名な紫雲木ならば、パソコン前で思い悩むより、現地に飛んでしまったほうが手っ取り早いかもしれません。 |
おとなの映画館「首里劇場」 沖縄そば「ほりかわ」 |
さっそく首里に出向き、龍潭池横の旧博物館跡地付近から探索を開始することにしました。ここには大人の映画館「首里劇場」があって、その界隈をじっくり調査。すぐ隣りには、児童福祉法第7条に該当する保育園もありますが、首里劇場は皆さまに支えられ創業63年になる老舗、その存在になぜか違和感はありません。 首里パブテスト教会に寄ってみれば、玄関前の広い庭の真ん中にそれらしい大きな樹木がありました。近寄って確認すれば残念ながらホウオウボクです。ところで、この教会の宗派はプロテスタント、首里城を挟んで反対側にある首里カトリック教会とは相容(あいい)れる事の無い関係にある筈です。 今度は龍潭通りを横切り、首里高校横の路地を探し廻りますが、見つかるのは路地裏の隠れ家cafeばかりです。沖縄そば「ほりかわ」も、そうやって見つけたお店でした。 入り口のお洒落な雰囲気に惑わされ、ふらりと立ち寄ってみれば、結構お客でいっぱいです。 まづはシークァサージュースを注文し、様子を伺うことにします。はたして出されたものは、名護市勝山産の甘味を加味しないそのままの酸っぱいジュースで、強烈な太陽の恵みと東シナ海からの爽やかな潮風が、大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)の海馬(かいば)までしっかり伝わってきます。 |
いろいろ悩んで沖縄そばセット1,060円に決定、アーサー(=アオサ)の天婦羅に紅芋で色を整えた紅芋おにぎり、もずく酢、クーブイリチー(クーブ=昆布、イリチー=炒め物)と飲み物がついています。麺は腰のある中細の平麺、出汁はすこし濃い目に味付けされたカツオ。観光客むけに工夫をこらしてはいるものの、内容は沖縄の味を忠実に承継した正統派です。これまでこのお店を知らなかったことが恥ずかしいぐらいです。 日を改めて今日は8月11日日曜日、紫雲木の手がかりについてはいっこうに進展がありません。暦の上で秋の訪れとされる「立秋」も数日前に過ぎましたが、猛烈な暑さは連日続きます。高知四万十や甲府では6年ぶりの40度越えを2日連続で記録、浜風涼しい沖縄県南城市糸数でも沖縄県過去最高タイ記録の36.1度が観測されました。同じ頃、中国上海近くの蘇州でも観測史上最高の40.8度が記録され、「動物園のジャイアントパンダもぐったり」と云ったどうでもよさそうなニュース映像まで流れてきます。 |
甲子園では夏の高校野球4日目が開催されていて沖縄尚学校が福知山成美と対戦しています。福知山成美のピッチャーは仲村渠(なかんだかり)、何かしら沖縄にゆかりある選手に違いありません。たった今、諸見里選手のホームランで2対2の同点にしたばかり。つづく2番知念のセーフティバント、3番名嘉のセンター前ヒットなどでワンアウト二・三塁までもってきました。しかしながらスクイズ失敗で追加点なし、緊迫した試合が続いています。 この間にも日中の気温はじりじりと上がってきました。南海上には、台風11号も発生していますが、例年ならば北上してくる台風も、強い太平洋高気圧阻まれ日本に近づくことができません。 少し目を離した隙に7回表、いつの間にか5対5になっていました。表は福知山成美の攻撃で1アウト満塁、沖縄のピッチャーは2年生の山城、足をゆったり振り上げる落ちつたピッチングでピンチを脱出。先ほどの満塁にまでしたピッチングは何だったんだろうと思わせる2個連続の三振奪取でした。 8回裏は沖縄の攻撃、エラーも絡んでノーアウト2・3塁。あまりのめまぐるしい展開に、朝からテレビに釘づけです。5番赤峰が本日4本目のライト前タイムリーヒットで1点追加。続けて6番平良、ストレートをうまく捕らえたセンター前ヒットで二塁走者を生還させ5対8の勝ち越しまで持ってきました。 |
台風11号予想進路 夏の甲子園高校野球 |
9回表で3点差、この回を凌げば勝ちが決まります。しかしながら、この有利な状況に及んでまたしても2アウト1・2塁のピンチ。一塁線を襲う痛烈な打球を浴び、7対8と猛烈に追い上げられていきます。2年生のピッチャー山城、ゆったりとした投球フォームからは素晴らしいストレートが飛出しますが、ときどき逆球(ぎゃくだま)もあって、ひやひやとして目が離せません。本当に野球を楽しませてくれる子供たちです。最後はど真ん中のストレートで見送り3振、2塁にランナーを残した状態で打撃戦を制し、わずか1点の僅差でなんとか沖縄尚学1回戦突破が決まりました。 ここまで暑いともはや外を出歩く気力はなく、かくなる上は禁断のi-Pad、自宅で涼みながらストリートビューで路地探索を継続することにしました。先週探索した首里の路地をストリートビューで復習するのも、なるほど違った趣(おもむき)です。 しばらくして、どこか見覚えのあるビューに出会いました。那覇市都市計画課の景観資源パンフレットに載っていた路地にどこか似ています。Yahooを使って市発行のパンフレットを検索し、写真を比べてみれば間違いありません。 |
まさかと思いながらも居ても立ってもいられず、那覇バス9系統石嶺線に飛び乗って現場に直行。胸はおどり、歩みは小走りになっています。 現場を押さえることができました。これはまさしく快挙です。情熱とIT技術の勝利です。しかしながら青葉広げた紫雲木の姿はそこになく、枯れて切り倒された切り株だけがありました。 暫(しば)し茫然(ぼうぜん)と立ち尽くすのみ・・・。 しかしながら大丈夫です。脳内には、紫色の花に覆われてきらきら輝く世界三大花木「紫雲木」の姿が確かにそこにありました。 |
首里池端町の紫雲木 |
鳳凰編 | 紫雲木:前編 | 紫雲木:後編(この場所) |
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。) ついでに、他の「沖縄花だより」や「紀行・探訪記」、「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。 |