【4月】 東京荒川 雑草だより (桜咲く岩淵水門)


岩淵水門

 3月下旬から4月になると野原は緑であふれ、太陽を求めた生存競争が始まります。この時期は、どこへ行っても桜(ソメイヨシノ)が花盛りで、花粉症さえなければ、日本人に生まれて良かったことを実感する最高の季節です。

 陽気に誘われ出掛けてきたのは、荒川と隅田川の分岐点である岩淵水門です。岩淵水門では、通常時は水質保全のために荒川の水を隅田川に流し、大雨の時(水位が4メートルに達した時)は閉めてしまいます。最近活躍したのは3年前(2019年)の台風19号で、水門がなかったら隅田川の水位が堤防の高さを越えていました。台風19号の様子

 もともと荒川は中川の支流だったようですが、江戸時代(寛永6年)の瀬替えによって入間川(その下流が隅田川)に繋(つな)ぎ替えた模様です。さらに洪水対策として昭和5年に荒川放水路が完成(明治44年着工)し、昭和40年から岩淵水門の下流を隅田川、荒川放水路を荒川と呼ぶようになりました。

 岩淵水門から隅田川を眺めれば、コンクリートで囲まれた狭い水路は広い河川敷を有する荒川側と対照的です。以前は荒川の水がすべて隅田川に流れ込んでいた訳で、ちょっとの雨で洪水が起きたのは当然のことと納得できます。


ナズナ(ペンペン草)


タンポポの絨毯(じゅうたん)

 今日は、岩淵水門から荒川土手を自転車で下って河川敷の様子を探ろうと思います。河口までは22kmで、ほぼハーフマラソンの距離(21.0975km)に相当します。

 河川敷には端から端まで自転車道が整備されていて、街中を走るよりずっと快適に走行できます。日当たりの良い土手の隅では、ナズナが一面に花を咲かせています。種がハートの形で三味線のバチに似ていることから、シャミセングサ(三味線草)あるいはペンペン草とも呼ばれます。

「ペンペン草も生えない。」と云った慣用句があるぐら生命力の強い草で、漢方薬に使われたり、お正月には春の七草としてお粥(かゆ)に入れて食べられます。

 河川敷の野球グランドに目をやれば、タンポポの花が真っ盛り。黄色の絨毯(じゅうたん)を敷きつめたようになってます。これらは外来種の西洋タンポポで、フランスでは野菜としてごく普通に食べられているそうです。

後編へ続く

(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
ついでに、他の「沖縄花だより」「紀行・探訪記」「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。