真樹の「なかゆくい」 (七休み:ハッピーピーチの京都旅)


 PeachはANAが38.67%を出資する格安航空会社、ジェットスターはJALが33.3%を出資する格安航空会社です。両社揃って2012年10月に大阪/関西 - 沖縄/那覇線を開設し、熾烈な空の戦いの火蓋が切って落とされました。 そんな中、なかゆくい編集スタッフがいち早く那覇-関西便に搭乗し、まずはPeachの実態を取材して参りました。

【ハッピーPEACHの京都旅】

 11月17日朝7:00、興奮の内に目が覚めました。今日は、Peachで京都に向かう日です。この時期、京都は紅葉が見頃の筈です。 京都に行こうと決めたのは3ケ月前の8月下旬、Peachの沖縄就航が発表されて間もなくでした。

 Peachは、関西空港を拠点とする日本発のLCC(格安航空会社)。 LCCという言葉は、2012新語・流行語トップテンに選ばれたとは云うものの、実態はよく知りません。 携帯電話のLTEやプラチナバンドを誰も理解していないのと一緒です。

 コーポレートカラーは桃色と紫色の中間色のフューシア(fuchsia)で、インク・トナーに使われるマゼンタ(magenta)と同じ色です。 関西-那覇路線は10月18日就航開始。 そして那覇空港は、今後のアジア路線拡大に向けた第二拠点として、重要な戦略的位置づけにあるようです。[路線図]

 那覇発関西へは15:40と21:00の一日二便。せめて第一便は午前中にしてもらえれば便利であると思います。

 時間に余裕があるので、部屋の掃除と洗濯を済ませ、家を出たのは14時。 15時の便が搭乗を予定する便です。 関西空港からのとんぼ返り便で、那覇空港への駐機時間は30分、さぞかし出発準備は慌ただしいことでしょう。

 那覇は貨物ターミナルを改造して作ったLCCターミナルからの出発で、国内線ターミナルからシャトルバスが出ています。

 シャトルバスの誘導員に、LCCターミナルに時間を潰すコーヒーショップはありますかと尋ねたところ、店が一つと自動販売機が幾つか揃っているとのこと。

LCCターミナル行きシャトルバス

 そのままバスに乗車してみれば、事前に聞いてはいたものの、本当に貨物コンテナの積んであるヤードの中を通って、バスは倉庫の前に到着しました。

 倉庫内部も大きく内装するわけでもなく、ガルバリウム鋼板剥き出しの屋根の下に、同じく配管剥き出しの空調と、受付台やレントゲンゲートを置いただけの簡単なものでした。

 コーヒーカウンターのお姉さんに、「ずいぶんワイルドですねぇ」と挨拶したら、失笑(大声で笑うこと)されてしまいました。

 LCCターミナルを利用する航空会社は、現在、Peachとエアアジアの二社で、何れもANA系列のLCCです。この辺りは、ANAの本気度が伺えます。

チェックインカウンター/保安検査場


乗客待合室
 搭乗手続きは、インターネットの画面を印刷したバーコード。3ケ月前に印刷し、2つ折りでバッグに放り込んでおいたままなので、正しく読めるか心配です。手続きは出発30分前までに行えばよく、思ったよりあっさり終了しました。

 待合室はとにかく広く、屋根も高いので、見た目よりは快適です。搭乗口は普通の出入り口に「搭乗口」と書いただけ。これで行こうと決めた経営陣は、相当柔軟な発想の持主であると思います。

 使用機が予定どおり到着するとは端から思っていませんでしたが、チェックイン時点で20分遅れが確定。 使用機到着のアナウンスは15:49で、間も無く搭乗開始です。


登場機(待合室から直接歩いて向かいます。)
 飛行機へは搭乗口から外に出て、歩いて直接乗り込みます。キャビンアテンダントはWebに出ていたその人で、この段階で出発遅延の不満はチャラとなりました。

 席はやや狭いと聞いていましたが、足がそんなに長くない私にとっては許容範囲内。むしろ、リクライニングが十分にとれないことが苦痛と云えば苦痛です。

 しかしながら、往復11,020円(空港施設使用料込)の設定に、とても文句は云えません。

 12列目と13列目は非常出口になっていて足元が広く、840円追加すれば座席予約ができます。しかしながら、Peachに乗る人はLCCを楽しむ人達ばかりで、両座席とも見事に空席でした。

 関西空港へは2時間程で到着、この程度であれば居住性より料金設定の方がはるかに優先されます。

 若い人と家族づれで機内は満杯で、団体客とビジネスマンは見かけません。 しかしながら、個人顧客がターゲットのドメインに一般企業が割り込んでくる掟破りは、時間の問題かもしれません。

 関西の到着ターミナルは、第二ターミナル。流石に那覇の貨物ターミナルほどワイルドではありませんが、ガルバリウム鋼板剥き出しの屋根はかわりなく、周囲には何もありません。

 京都行きのリムジンバスが五分程で到着、京都駅まで約1時間40分で連れて行ってくれます。

関西空港 第二ターミナル

 当初、第一ターミナルからJR特急はるかへの乗り換えを考えていましたが、乗り換え時間を考えると第二ターミナルからはリムジンバスが便利なようです。

 JR京都駅に着きました。ここまでに支払った料金は、航空代4,940円(空港使用料込)とバス代2,500円。

 来年1月からは一日3便に増便され、関西へは益々便利になるようです。さらに2月、3月のキャンペーン中は航空料金2,320円という設定もあり、バス代と逆転する事態も生まれます。

 明日は、小春日和の暖かな一日となる模様です。嵐電に乗って終点の嵐山まで行き、百人一首ゆかりの小倉山「二尊院」あたりまで足を延ばして、秋の京都をじっくり堪能しようと思います。

京都嵯峨野 「二尊院」

 貨物ターミナルからの出発など少しの不便さはありますが、それでもPeachで京都旅をしたい気持ちになって頂けたでしょうか?? 引き続き「なかゆくい」編集スタッフによる、競合相手ジェットスターの試乗報告も予定しています。 是非ご期待ください。

(文・写真:梶原正範)
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
ついでに、「沖縄紀行・探訪記」「沖縄花だより」真樹の「なかゆくい」へも、ぜひ訪れてください。