波布食堂 (はぶしょくどう)

 ちょっと異色の「波布食堂」に行って参りました。お昼過ぎに行ったところ多くの客で気後れし、午後2時前に再度行ってようやく入ることができました。大食に自身のある方は、是非訪れてみてください。(2013/01/26)



那覇港 波布食堂

 波布食堂は那覇港一角のプレハブにあって、とても人気のある食堂です。プレハブにあるからハブ食堂という訳ではなさそうです。店の中はいつも多くの客でごった返しています。 このお店の売りは量の多さです。メインターゲットとするお客が港湾で働く労働者たちですから、ご飯やおかずは超大盛りです。それを聞きつけて一般市民や観光者が訪れる訳ですが、食べきれる訳がありません。

 注文した料理が出来上がると、番号札をもらってないのに番号で呼ばれるので、うっかり忘れてしまうと大変です。代金は、空いたお皿やどんぶりを返しに行ったついでに支払います。これだけの人数の注文を暗記しているとは考えられず、自己申告制のように思えます。しかし、横浜家系ラーメン六角屋の例では、順番待ちでカウンターの後ろに並んだ十数人の麺の固さ、スープの濃さ、脂の量を店員が丸暗記していますから、沖縄のおばちゃん達だからと云って侮(あなど)れず、ひょっとしたらひょっとして覚えているかも知れません。

 このお店の人気メニューは肉そば700円(冬場の野菜高騰で値上がりした模様です)。三枚肉の沖縄そばが450円ですから、おおよそ半分近くがトッピングの値段です。 それも納得、出てきた肉そばの量にびっくり。東京都葛飾ラーメン大の無料トッピング「増し増し」に匹敵する、東京タワー333mを遥かに凌ぐスカイツリー級肉野菜炒めが出て来ます。(ちなみにラーメン大で「増し増し」を注文した客には、出会ったことがありません。) 

 レバニラ炒めやゴーヤチャンプルーにしても事情は同じ。かつ丼に至っては驚愕の2段積みで、おかず以上にご飯の大盛が食べきれません。 そんな訳ですから、女性や家族づれが完食できる筈がなく、残ったおかずはビニールの折り詰めを貰って持ち帰ることになります。琉球の王族たちではないのですから、食べ物を残して帰るような「もったいない」習慣は日本にはありません。

 ところで、「MOTTAINAI」は「OTAKU」と並んで日本が生んだ世界に通ずる共通語。ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんの提唱が世界に広まるきっかけで、英語版ウィキペディアにも登場します。そこでは、ミレーの落穂拾いが「MOTTAINAI」精神の象徴として引用されていましたが、落穂拾いは貧困を書き写した絵であって、もったいないとは意味合いが違います。

 そこで、筆者がお勧めする波布食堂での正しい食べ方は、

   @ 二人で行って一人は肉そば、そしてもう一人は普通の沖縄そばを注文し、トッピングを二人で仲良く分け合う。
   A 或いは、大きめのタッパーウェアか鍋を持参し、そばに口をつける前にトッピングを鍋に移し替えて持ち帰る。


 そして持ち帰ったトッピングは、ビール(金麦)のおつまみとして自宅に帰って美味しく頂く。そんな訳ですから、波布食堂に出掛ける時は、くれぐれも体調を整えてからお出掛けください。


肉そば

かつ丼

落穂拾い(ミレ―)

(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
ついでに、「紀行・探訪記」「沖縄花だより」「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。
(文・写真上:梶原正範、写真右下:深澤宏美)